ご挨拶

 このたび第81回大腸癌研究会を、平成26年7月21日(木)に名古屋観光ホテルで開催させていただくこととなりました。名古屋における大腸癌研究会は、加藤知行先生(愛知がんセンター)が第55回を2001年7月に開催されて以来13年ぶりとなります。今回は主題として“早期大腸癌治療の新展開”と“高齢者大腸癌(75歳以上)の治療戦略”を取り上げることにいたしました。

 早期大腸病変に関しては、第80回で落合淳志先生が取り上げられ、今回それを受け治療全般について検討を行っていただく予定です。大腸早期癌に関する治療法は、従来の内視鏡治療や局所切除、腸切除(開腹および内視鏡下)に加え、2011年にはTransendoscopic microsurgery(TEM)が、また2012年にはEndoscopic submucosal dissection (ESD)やMinimally invasive transanal surgery (MITAS)が保険収載となり、内科的にも外科的にも治療の選択肢が拡がってきています。また近年では、腸切除適応症例にはrobotic surgeryも行われています。早期大腸癌に対する治療では、どのような病変に局所的な治療を行うか腸切除を行うか? それらの選択基準は? それらの判断の結果はどうであったか? またそれらの治療を行う場合にはどの治療法を選択するか? 適切な治療(局所的治療では適切なsurgical margin確保など)を行うにはどのような工夫があるか? そのコツは何か? それらの成績はどうか? 内視鏡治療後の遠隔転移のリスクはあるのか? あるとすればどう予防するか? 病理組織学的な治癒度の判断に貢献する因子にはどういうものがあるか? 長期予後はどうかなど治療戦略に対するすべてを検討していただきたいと存じます。

 高齢者大腸癌に対する治療では、臨床現場では治療指針となるデータに乏しく、高齢化がすすむ本邦では大きな問題となっています。今回は高齢者を一応75歳以上と定義しましたが、これが本邦の実情にあう年齢であるのか? 種々の合併症を有する高齢者のリスクファクターをどう評価すべきか? 高齢者の外科治療の郭清度はどうすべきか? 抗がん剤治療(補助化学療法など)はどうしたら良いのか? より若年者と比較して治療成績はどうであるか?など治療戦略全般について検討をお願いします。

 第81回大腸癌研究会・名古屋が充実した実りある学会になるためには、一人一人の先生方のご発表と討論が最も大切であります。多くの先生方のご発表とご参加を心よりお願い申し上げます。

第81回大腸癌研究会当番世話人
藤田保健衛生大学医学部 消化器外科 前田耕太郎
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